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カナリヤの羽彩

カナリアには極黄(ごっき)と淡黄(あいき)という二通りの羽彩があります。原種であるワイルドカナリーではオスが極黄、メスが淡黄ですが飼養下で発展したカナリアは雌雄どちらも二通りの羽彩を持ちます。
極黄とは羽毛の先端まで色彩があり、全体的にはっきりとした羽彩です。一方淡黄は羽毛の先端が白く縁どられ、白いベールをかぶせたような淡く優しい羽彩になります。
極黄は英語でyellow(黄色)と表記され、淡黄はbuff(鈍黄色)となります。この言葉はカナリアが飼養下で原種の野路子斑(のじこふ)と呼ばれる短い縦じま模様に全身をおおわれているものからパイド化(模様の無い部分が出現)し、更に全身無地の黄色や白が出たころから使われており、日本では江戸時代前期に輸入されたものはパイドも無地もおり、輸入直後から極黄、淡黄と呼ばれていました。このカナリアは並カナリアと言う品種でたとえて言えばフィンチのジュウシマツのような存在でした。明治時代になり、細や巻毛の原種が輸入され、更にスタイルカナリアとして発展する段階でも極黄、淡黄という言葉で区別されていました。
時代が進み、大正から昭和初期にかけてローラーカナリアが輸入されると新しい言葉も一緒に輸入されました。極黄に相当するnon-frosted(覆輪がない=無覆輪)、淡に相当するfrosted(覆輪がある=有覆輪)です。これ以降カナリアの羽彩は無覆輪と有覆輪という呼び方が主流になりましたがスタイルカナリアに関しては極黄、淡黄という言葉は使われ続けています。欧米では厳格でスタイルカナリアは全て極黄(yellow)、淡黄(buff)と呼ばれています。
近年では英語表記も変わり、無覆輪はintensive(強調する)、有覆輪はnon-intensive(強調しない)となりました。覆輪の有無より色彩の美しさを前面に打ち出す感じです。しかし日本では無覆輪・有覆輪のままです。
模様を重視するリザードカナリアだけはこの極黄・淡黄、無覆輪・有覆輪という言葉使わず、極黄にはゴールド(金)、淡黄にはシルバー(銀)という呼称が使われます。最も古い品種だけにこだわりがあるのでしょう。
デモフィックという言葉があります。淡黄(有覆輪)の進んだ形で白い覆輪が大きく地色を覆い、目の周囲や肩、腰だけに地色が現れるもので最も美しいカナリアの羽彩という人も多い品種です。赤カナリアで特に多く見られますが他の色彩でも存在し、無地だけでなく全身野路子斑(アオ)やパイドでも現れます。しかし淡黄交配が続くと羽毛の成長を妨げる膿腫が出現しやすく、リスクの高い品種でもあります。
現在では極黄・淡黄という言葉は巻毛と日本細位しか使わず、ほとんどの品種を無覆輪・有覆輪と呼ぶような風潮です。本来は極黄・淡黄だったはずの言葉がすたれていくのは淋しいと思いますが時代の流れでしょうか。それとも知識不足からくる品種ごとの使い分けができていないためでしょうか。
ペットとしての小鳥では最も長い歴史を持つカナリアです。近年は飼う人の高齢化で若いカナリアファンが見られなくなりました。ちょっとした雑学程度の話ですが今後のカナリア界に少しでも役立てばと思い筆を執ってみました。

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