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スタイルカナリア

カナリアは飼い鳥の中でニワトリ、ハトに次ぐ多くの品種を持つ鳥です。体長、色彩、模様、体型、姿勢、巻毛、梵天等があり、それぞれ重複したものも多く見られます。
スタイルカナリアと日本では呼ばれますがこれは三つに分けられます。体長、体型、姿勢です。
最初が体長(全長)です。最大のランカッシャーでは22cmを標準としますが、日本細の13cm、ラサエスパニョーラやグロスターの11,5cmに比べて倍近い大きさです。ヨークシャーでも20㎝を超える大きな鳥が生まれることがあります(審査では17㎝~18㎝が基本)。大型と思われているノリッジは16,5㎝と決まっていて中型と大型の間の大きさです。
体長(全長)は嘴の先から尾の先までの長さを言います。レモンカナリアや赤カナリアは14㎝前後とカナリアの標準体長です。
次いで体型があります。大きく分けるとすらりとした直線型、直立型、ふっくらとした丸型、湾曲した三日月型です。
直線型の代表格がヨークシャーです。頭から尾の先まで一直線になります。昔は婚約指輪をくぐるほどの細身だったようですが現在では太くなりました。大きなランカッシャーも直線型です。小型ではスペイン産のラサエスパニョーラがいます。最近日本でも見かけるようになったメジロ程の小さなカナリアです。
直立型は最初のスタイルカナリアでもあり、すべてのスタイルカナリアの元になったオールドダッチという品種ですが現在では廃れてしまい見ることができません。ただ日本の東京巻やオランダのノースダッチフリルにその体型を窺がうことができます。
ふっくらとした丸型は世界的な人気品種がいます。日本ではあまり人気がありませんがノリッジ(ノーウィッチ)が代表格です。頭が大きく全身が丸く尾が短い、イギリス人好みの体型です。実際イギリスのノーフォーク州ノリッジという街で作出されました。カナリアの中でも最も高価な品種かもしれません。身近な品種ではグロスターがいます。小型で頭は小さく梵天と平頭がいます。
三日月型は細身で頭と尾が前に出て胸から腹部が湾曲した形です。最も古いのがベルギーのベルジャンファンシーです。三日月型と言いながら尾は止まり木から前に出てはいけないという基準があります。直立型でもあると言えるでしょう。現在の三日月形の代表格がスコッチファンシーと日本細でしょう。兄弟品種でほとんど同じ審査基準ですが体長がスコッチ17cm、日本細13㎝と異なります。
姿勢というと難しく思われるかもしれません。審査時にコンテスト籠でどのような姿勢を取るかが重要で訓練(籠出し)が必要です。ヨークシャーではカタカナのイの字型で脚を伸ばして直立し、体は一直線になるようにしなければいけません。
ラサエスパニョーラは止まり木に対して平行、つまり頭から背中、尾までが止まり木と水平になるようにTの字型に止まることを求められます。実際は活発な鳥でじっとしてくれないので難しいのですが。
スコッチファンシーや日本細では頭と尾を前に出し、三日月形を強調する姿勢が求められます。ドイツのミュンヘンという品種はベルジャンとスコッチの中間で尾は止まり木の前に出ないとされます。
巻毛はヨーロッパ大陸で人気があり、特にイタリアではミラノ、パドヴァ、フィレンツェ等都市ごとに異なる品種を作出・保存しています。巻毛は体型も重視されます。直立型(東京巻、パリジャン、サウスダッチ、ギバーイタリクス等)、湾曲型(スイスフリル、ギボソエスパニョール等)があります。フランスからベルギー、オランダにかけてのフランダース地方でも巻毛品種は多く、サウスダッチ(直立型)、ノースダッチ、パリジャン等がいます。パリジャンは全身巻毛で頭や腿まで巻いています。
梵天は色々な品種にありそれぞれ名称が異なります。ランカッシャーでは梵天はコピー、平頭はプレーンヘッド。梵天で最も高価で最高峰とされるクレステッドでは梵天はそのままクレステッド、平頭はクレストブレッド。グロスターでは梵天がコロナ、平頭はコンソート。この他にドイツハウベン、ラウトラント(ドイツで日本細とグロスターの交配で作出)、巻毛にも梵天がいてフィオリーノ(フィレンツェ)、パドヴァン(パドヴァ)等います。
スタイルカナリアの範疇には入りませんが日本のみならずヨーロッパでも模様カナリアはスタイルカナリアと同列に扱われています。リザードカナリアです。最も古い品種でもあり作出国であるイギリスでは昔ながらの厳しい審査基準で色物は認められていません。しかしヨーロッパ大陸では白リザードがいます。日本でも赤や紫、オレンジといった色物が作られています。海外では通用しませんが。リザードを野生の原種に近い模様とする解説を見ることがありますがこれは誤りです。独特のトカゲ模様(スパングル)、胸の縦縞(ローイング)、頭のキャップはベニビタイセリンという野鳥をモデルにして改良されたものです。
ロンドンファンシーという小型で翼にだけ模様のある品種は第二次大戦で滅んでしまいました。
この他にも新たなスタイルカナリアがヨーロッパでは作られていますが、鳥の負担になるような交配は避けるべきだという声が大きくなり、無理のない品種に絞られつつあるようです。幾つかの品種は消滅するかもしれません。

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